【豊橋】地方債残高1495億円 教育317億円・土木274億円、その中身は?

豊橋市はいくら「借金」を抱えているのか。

豊橋市の令和6年度決算資料を週刊TAKAPIが確認したところ、2025年3月末時点の地方債残高は、一般会計、特別会計、企業会計を合わせて1495億8517万3000円だった。

内訳は、一般会計が990億700万6000円、特別会計が20億8498万1000円、企業会計が484億9318万6000円。

一般会計では教育と土木、企業会計では下水道事業の地方債残高が大きい。

「1495億円」と聞けば、巨額の借金を抱えているようにも見える。

しかし、地方債は単純な「赤字」と同じものではない。学校や道路、上下水道など、長期間使う施設やインフラを整備する際に資金を調達し、長期間かけて返済していく役割がある。

では、豊橋市は何のために、どれだけの地方債を抱えているのか。

週刊TAKAPIが令和6年度決算から、その中身を検証する。

豊橋市の地方債残高は1495億8517万円

令和6年度末の地方債残高を会計別に見ると、

一般会計 990億700万6000円

特別会計 20億8498万1000円

企業会計 484億9318万6000円

となっている。

合計すると、

1495億8517万3000円。

ただし、この1495億円をすべて同じ性格の「借金」として見るのは適切ではない。

一般会計のほか、水道、下水道、病院などの企業会計も含まれているためだ。

それぞれ何に使われ、どの会計で返済していくのかを見る必要がある。

ここだけ読めば分かる|そもそも「地方債」って何?

地方債という言葉は難しいが、簡単に言えば、自治体が資金を借りて、長期間かけて返していく仕組みだ。

例えば、仮に100億円の学校を造るとする。

建設した年の税収だけで100億円すべてを負担すると、その年度の市民に費用が集中する。

しかし、その学校を使うのは現在の市民だけではない。

10年後、20年後の子どもたちも利用する。

そこで地方債を活用し、

資金を調達する

学校などを整備する

複数年度にわたって返済する

という形を取ることができる。

つまり、長期間使われる施設について、その費用を長期間に分散させる役割もある。

もちろん借りた資金である以上、返済は必要で、利子が発生する場合もある。

だから地方債は、

「借金があるから悪い」

とも、

「公共事業だからいくら借りても問題ない」

とも言えない。

何のために借り、どれだけ残り、将来無理なく返済できるのかを見ることが重要になる。

一般会計は990億円 最大は「教育」317億円

一般会計の地方債残高は、990億700万6000円

目的別で最も大きいのは教育で、

317億7239万円

となっている。

一般会計の地方債残高の32.1%を占める。

次いで大きいのが土木で、

274億9998万4000円

構成比は27.8%。

そのほか、

公営住宅 39億3202万6000円

民生 35億4635万8000円

総務 33億4801万9000円

衛生 27億4739万9000円

農林水産 22億2801万4000円

清掃 21億6620万8000円

消防 14億6343万2000円

商工 9億9781万6000円

などとなっている。

なお、これらは令和6年度だけに新しく借りた金額ではない。

過去に発行した地方債のうち、2025年3月末時点で返済が残っている金額だ。

教育と土木だけで約593億円 一般会計の約6割

特に大きい教育と土木を合わせてみる。

教育は317億7239万円。

土木は274億9998万4000円。

合計すると、

592億7237万4000円

となる。

一般会計の地方債残高990億700万6000円の約59.9%に相当する。

つまり、一般会計で残っている地方債のおよそ6割を、教育と土木の2分野が占めていることになる。

ただし、「教育317億円」という数字だけでは、どの学校整備や教育施設にいくら使われたのかまでは分からない。

地方債残高の総額から一段踏み込み、個別事業まで追うことも今後の検証課題となる。

188億円残る「臨時財政対策債」とは

一般会計ではもう一つ、大きな地方債がある。

臨時財政対策債188億7121万4000円だ。

一般会計の地方債残高の19.1%を占める。

これは、学校や道路など特定の施設を整備するための地方債とは性格が異なる。

臨時財政対策債は、地方交付税として地方自治体へ配る国の財源不足を補うため、自治体側が発行してきた地方債だ。

元利償還金については、後年度の地方交付税を算定する際に基準財政需要額へ算入される仕組みになっている。

そのため、

「豊橋市が独自の事業をするために188億円借りた」

という意味ではない。

1495億円という地方債残高を見る場合、このように地方債ごとの性格が異なる点にも注意が必要だ。

企業会計は484億円 下水道だけで368億円

一般会計とは別に、大きな地方債残高を抱えているのが企業会計だ。

令和6年度末の残高は、

水道事業 49億6751万5000円

下水道事業 368億3485万円

病院事業 66億9082万1000円

となっている。

合計は、

484億9318万6000円。

特に大きいのが下水道事業だ。

下水道だけで企業会計の地方債残高の約76%を占めている。

上下水道や病院は、一般会計とは会計の仕組みが異なり、料金収入や医業収益など、それぞれの事業収入を持つ。

このため、企業会計の地方債についても、残高だけで財政状態を判断することはできない。

特別会計は20億円 大半が総合動植物公園

特別会計の地方債残高は、

総合動植物公園事業 20億6177万6000円

母子父子寡婦福祉資金貸付事業 2320万5000円

となっている。

合計は20億8498万1000円

特別会計については、総合動植物公園事業が98.9%を占めている。

豊橋市は1495億円を「どこから」借りている?

では、これらの資金を豊橋市はどこから調達しているのか。

令和6年度末の借入先別残高を見ると、最大は、

財政融資 664億3717万7000円

で、全体の44.4%を占める。

続いて、

銀行・信用金庫等 411億4911万2000円

地方公共団体金融機構 377億8216万6000円

共済組合等 37億8151万2000円

旧郵政公社 4億3520万6000円

となっている。

銀行・信用金庫など民間金融機関からの借入残高だけでも411億円を超える。

地方債というと国から借りているイメージを持つ人もいるかもしれないが、実際には複数の借入先から資金を調達していることが分かる。

令和6年度の市債収入は100億円、公債費は98億円

残高だけでなく、その年度にどれだけ資金を調達し、どれだけ返済に支出したのかも見る。

令和6年度の一般会計では、市債による収入が、

100億9208万1000円

だった。

一般会計の収入総額1532億7913万2000円の6.6%を占める。

一方、支出では地方債の元利償還などにあたる公債費が、

98億9477万9000円

となっている。

ここで注意したいのは、

「100億円借りた-98億円返した=借金が約2億円増えた」

とは計算できないことだ。

公債費には元金だけでなく利子なども含まれる。

地方債残高が実際に増えたのか減ったのかを確認するためには、前年度末の地方債残高と、令和6年度中の元金償還額などを比較する必要がある。

「1495億円=財政危機」ではない

1495億8517万3000円。

数字だけを見れば大きい。

しかし、この数字だけを理由に「豊橋市の財政が危ない」と判断することはできない。

地方債には、学校や道路、上下水道など長期間利用する施設の整備費について、負担を複数年度に分散させる役割がある。

また臨時財政対策債のように、後年度の地方交付税の算定と関係する地方債もある。

一方で、地方債は将来返済する必要がある。

その返済負担が市の財政規模に対して重くなれば、将来使える財源にも影響する。

だから本当に見るべきなのは、地方債残高だけではない。

若い人にも分かる|豊橋市の「借金」で見るべき4つ

豊橋市の財政を見るときは、次の4つに分けると分かりやすい。

① いくら残っている?

令和6年度末の地方債残高は、全会計で1495億8517万3000円

② 何のために借りた?

一般会計では教育約317億円、土木約275億円などが大きい。

企業会計では下水道が約368億円となっている。

③ 毎年どれくらい返している?

令和6年度一般会計の公債費は98億9477万9000円

ただし、この中には元金だけでなく利子なども含まれる。

④ 将来、返済は重すぎない?

ここを見るために使われるのが「実質公債費比率」や「将来負担比率」といった財政指標だ。

つまり、

1495億円ある

という事実だけを見るのではなく、

「何に使った1495億円で、豊橋市の財政規模なら無理なく返していけるのか」

まで見る必要がある。

地方債1495億円 本当に見るべき数字はこれから

令和6年度末時点で、豊橋市の地方債残高は全会計合計で1495億8517万3000円

一般会計は約990億円で、このうち教育約317億円、土木約275億円が大きな割合を占める。

企業会計では、下水道事業が約368億円となっている。

しかし、1495億円という総額だけでは、豊橋市の将来負担が重いのか軽いのかは分からない。

次に確認する必要があるのは、

地方債残高は過去5年間で増えたのか、減ったのか。

毎年度、元金をいくら返しているのか。

返済負担は財政規模に対してどの程度なのか。

基金など将来に備えた資金はいくらあるのか。

という点だ。

「豊橋市はいくら借金を抱えているのか」という問いの答えは、全会計の地方債残高だけを見れば1495億8517万3000円。

しかし、本当に重要なのはその先にある。

週刊TAKAPIでは、地方債残高の過去5年間の推移、実質公債費比率、将来負担比率、基金残高などを順次比較し、豊橋市の地方債と将来負担を引き続き検証する。

Q&A|豊橋市の地方債を分かりやすく解説

Q豊橋市の地方債残高はいくら?
A令和6年度末時点で、一般会計、特別会計、企業会計を合わせて1495億8517万3000円です。
Q一般会計だけではいくら?
A990億700万6000円です。
Q何の地方債が多い?
A一般会計では教育が317億7239万円、土木が274億9998万4000円です。企業会計では下水道事業が368億3485万円となっています。
Q地方債って簡単に言うと何?
A自治体が学校や道路などの整備に必要な資金を調達し、複数年度にわたって返済していく仕組みです。
Q1495億円を豊橋市民一人一人が直接返すの?
A市民一人一人に1495億円の返済義務があるという意味ではありません。地方債は豊橋市が負う債務で、会計や地方債の種類によって返済財源なども異なります。
Q1495億円は多すぎる?
A総額だけでは判断できません。実質公債費比率や将来負担比率、基金残高、地方債残高の推移などを合わせて確認する必要があります。

情報提供・相談窓口

週刊TAKAPIでは、豊橋市政、行政、公共事業、教育などに関する情報提供・相談を受け付けています。

下記SNSのDM、公式LINEからも情報をお寄せください。