【三重】公設特養「宝寿園」で入所者の額を1回たたく 50代職員を停職1カ月、園長も戒告 紀宝町が身体的虐待認定

三重県紀宝町の公設特養「宝寿園」で入所者への身体的虐待が認定され、50代女性職員が停職1カ月となった問題を伝える週刊TAKAPIの報道アイキャッチ

三重県紀宝町の介護老人福祉施設「宝寿園」で、50代の女性職員が入所者の額をたたく行為があり、紀宝町が身体的虐待と認定していたことが分かった。

報道によると、施設を運営する紀南特別養護老人ホーム組合は女性職員を9月14日付で停職1カ月とした。さらに、管理監督責任を問われた50代男性の宝寿園長も18日付で戒告処分となった。

紀宝町は施設側に改善勧告を行い、10月15日までに改善の実施状況を報告するよう求めている。

丸椅子を強引に取り上げ、入所者の額を1回たたく

問題となった行為は8月20日、宝寿園の共用部で起きた。

報道によると、会計年度任用職員の50代女性は、高さ約50センチの丸椅子を持ち上げていた入所者に対応。入所者が椅子を離さなかったため強引に取り上げ、額を1回たたいたとされている。

入所者にけがは確認されていない。

女性職員は施設側の聞き取りに対し、入所者の行動を危険と考えたことや、自身の対応が不適切だったと反省する趣旨の説明をしているという。

入所者の危険な行動を止める必要があったかどうかと、職員が身体に手を出す行為が適切だったかどうかは別の問題となる。

紀宝町は9月7日、この行為を身体的虐待と認定した。

4日後に目撃職員が通報 見守りカメラで確認

問題が施設側に報告されたのは8月24日だった。

現場を目撃した別の職員が紀南特別養護老人ホーム組合に通報。施設側が共用部に設置された見守りカメラの映像を確認し、行為を把握したとされている。

行為があった20日から通報までは4日間ある。

ただし、なぜ24日の通報となったのか、20日から24日までの間に施設内部でどのような情報共有があったのかは、現在確認できる公開情報では明らかになっていない。

この部分は、目撃した職員個人の対応を推測するのではなく、施設として虐待や不適切なケアを早期に報告・把握できる体制だったのかという観点から確認する必要がある。

女性職員は停職1カ月 園長も管理監督責任で戒告

紀南特別養護老人ホーム組合は9月14日付で、女性職員を停職1カ月の懲戒処分とした。

さらに宝寿園長の50代男性についても管理監督責任が問われ、18日付で戒告処分となったと報じられている。

直接行為をした職員だけでなく、施設責任者にも処分が及んだことになる。

一方、停職1カ月とした具体的な量定理由や、園長についてどのような管理監督上の不備を認定して戒告としたのかは、現在オンラインで確認できる情報だけでは詳細が分からない。

処分の妥当性を検証するためにも、この点は正式な処分資料の確認が必要になる。

宝寿園は3市町で運営する公的な高齢者施設

宝寿園を運営する紀南特別養護老人ホーム組合は、熊野市、御浜町、紀宝町で構成されている。

紀宝町が公開している組合規約では、特別養護老人ホームや老人短期入所施設の設置、管理、運営などを3市町で共同処理すると定めている。組合の事務所も宝寿園に置かれている。

厚生労働省の介護サービス情報公表システムでも、宝寿園の運営主体である紀南特別養護老人ホーム組合は「地方公共団体(広域連合・一部事務組合等)」に分類されている。

今回の問題は、民間介護施設内部だけの服務問題ではなく、公的主体が運営する高齢者施設で発生した虐待認定と懲戒処分として見る必要がある。

紀宝町が改善勧告 10月15日までに報告求める

紀宝町は身体的虐待と認定したうえで、紀南特別養護老人ホーム組合に改善勧告を行った。

施設側には10月15日までに改善の実施状況を報告するよう求めている。

今後の焦点は、処分そのものだけではない。

問題行為が発生した原因を施設側がどのように分析するのか。職員への虐待防止研修や、不適切なケアを目撃した際の報告体制をどう見直すのか。見守りカメラを含め、問題を早期に発見する仕組みをどこまで改善するのか。

10月15日までに提出される改善報告で、こうした再発防止策がどこまで具体化されるかが重要になる。

虐待認定、懲戒処分と刑事責任は別

現在確認できる公開情報では、今回の行為をめぐる警察への被害届や告発、逮捕、書類送検などの刑事手続は確認できない。

現段階で明らかになっているのは、紀宝町による身体的虐待の認定と改善勧告、女性職員への停職処分、園長への戒告処分だ。

行政上の虐待認定や公務上の懲戒処分と、刑事責任の有無は区別して扱う必要がある。

編集部まとめ

宝寿園では、50代女性職員が入所者の額を1回たたいた行為について、紀宝町が身体的虐待と認定した。女性職員は停職1カ月となり、園長にも管理監督責任を理由とする戒告処分が行われた。

行為から4日後に目撃職員の通報があり、見守りカメラの映像から事実確認につながった。

今後は、10月15日までに求められている改善報告で、発生原因や施設内の報告体制、職員教育などについて、どこまで具体的な再発防止策が示されるかが焦点となる。

週刊TAKAPI編集部/成田

特記事項

この記事は、紀宝町が公開する紀南特別養護老人ホーム組合規約、厚生労働省の介護サービス情報公表システム、9月19日までに確認できた公開報道を照合して構成しています。

女性職員の停職処分、園長の戒告処分、身体的虐待の認定、改善勧告については複数の公開情報で確認していますが、紀宝町または紀南特別養護老人ホーム組合による個別の処分原本、改善勧告書全文はオンライン上で確認できていません。

入所者にけがは確認されていません。警察への被害届、告発、逮捕、書類送検など刑事手続についても、現時点の公開情報では確認できません。

Q宝寿園では何があった?
A8月20日、50代の女性職員が丸椅子を持ち上げていた入所者から椅子を取り上げ、額を1回たたいたとされています。
Q入所者にけがはあった?
A公開情報では、けがは確認されていません。
Q女性職員はどのような処分を受けた?
A紀南特別養護老人ホーム組合が9月14日付で停職1カ月の懲戒処分としました。
Q園長も処分された?
A50代男性の園長が管理監督責任を問われ、9月18日付で戒告処分となったとされています。
Q紀宝町は施設にどのような対応を求めた?
A身体的虐待と認定して改善勧告を行い、10月15日までに改善の実施状況を報告するよう求めています。

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