公益財団法人東京都教育支援機構(TEPRO)は、無許可で機構外の業務に従事したほか、工事発注の過程で自身の親族企業への委託を提案するなどしたとして、57歳の男性主事を9月30日付で懲戒解雇した。
機構が10月2日に公表した資料によると、男性主事には大きく3つの問題が認定されている。
別会社の代表取締役に就任しながら所定の手続きを取らず、機構外の業務に従事していたこと。2026年4月以降の工事発注案件で機構の方針に反する事務処理を行い、その過程で一部の事業者に自身の親族企業への委託を提案したこと。そして、2025年4月3日から2026年6月4日まで、自宅勤務中の職務専念義務違反と勤務管理上の不適切な取り扱いを繰り返したことだ。
一方、親族企業が実際に受注したのか、発注案件の件数や金額はいくらだったのか、男性が代表を務めていた別会社と機構に取引関係があったのかなど、事案の核心に関わる部分にはなお不明点が残る。
別会社の代表取締役 所定手続きせず機構外業務
機構によると、男性主事は別会社の代表取締役に就任していた。
しかし、機構で必要とされる所定の手続きを取らず、そのまま機構外の業務に従事していたという。
公表資料では、会社名や業種、代表取締役への就任時期、報酬の有無などは明らかにされていない。
また、この会社と東京都教育支援機構の間に契約や取引が存在していたのかも公表されていない。
今回の処分は、単に副業の届け出を怠ったというだけではなく、別会社の代表取締役という立場にありながら無許可で機構外業務に従事していたことが問題とされた。
工事発注で「自身の親族企業への委託」を提案
さらに注目されるのが、2026年4月以降の工事発注をめぐる行為だ。
機構は、男性主事が工事業務の発注案件で「機構の方針に反する事務処理」を行ったと認定。
その過程で、一部事業者に対し、自身の親族企業への委託を提案していたとしている。
ただし、ここは事実関係を厳密に分ける必要がある。
機構が公表したのは、男性主事が「親族企業への委託を提案した」という事実までだ。
親族企業が実際に仕事を受注した、再委託を受けた、あるいは金銭が支払われたとは公表されていない。
現時点で「親族企業へ利益を流した」「親族企業に発注した」などと断定することはできない。
親族企業との関係、案件数、金額は非公表
今回の公式発表だけでは、発注をめぐる事案の全体像は見えてこない。
明らかになっていないのは、対象となった工事の件数や契約規模だけではない。
男性主事と親族企業の具体的な続柄、委託を提案した回数、提案を受けた事業者数、提案後に事業者側がどのように対応したのかについても示されていない。
また、男性主事に発注先や委託先を決定する権限がどこまであったのか、最終的な決裁を誰が行っていたのかも不明だ。
今後は、発注事務における利益相反管理や内部チェックがどのように行われていたのかも確認点となる。
1年以上にわたり在宅勤務中の職務専念義務違反
処分理由は、兼業と発注事務だけではなかった。
機構によると、男性主事は2025年4月3日から2026年6月4日まで、自宅勤務中の職務専念義務違反と勤務管理上の不適切な取り扱いを繰り返していた。
期間は1年以上に及ぶ。
一方、具体的にどのような行為を職務専念義務違反と認定したのかについて、機構は公表していない。
勤務時間中に別会社の業務に従事していたのか、勤務実績の記録や申告に問題があったのか、それとも別の行為だったのかは明らかになっていない。
無許可兼業との関連についても説明されていない。
無許可兼業、発注事務、勤務管理 3つの問題を重く判断
今回の処分で特徴的なのは、単独の服務違反に対する懲戒ではない点だ。
無許可での機構外業務。
工事発注をめぐる不適切な事務処理と親族企業への委託提案。
そして、1年以上にわたる自宅勤務中の職務専念義務違反など。
機構は複数の問題を合わせ、職員就業規則に基づいて懲戒解雇とした。
公表資料では、各行為についてそれぞれどの程度の量定を行い、最終的に懲戒解雇を選択したのかという詳細な判断過程までは示していない。
TEPROは東京都職員の組織ではない
東京都教育支援機構は、東京都の教育施策を支える公益財団法人で、東京都の政策連携団体に位置付けられている。
学校教育や教職員の支援に加え、都立学校の施設維持管理や工事発注なども担っている。
ただし、機構職員は東京都職員ではない。
地方公務員として任用される東京都職員や、都立学校の教員に対する処分ではなく、公益財団法人の就業規則に基づく処分となる。
そのため今回の処分名称も「懲戒免職」ではなく、「懲戒解雇」とされている。
