埼玉県新座市内のクリニックで、女性患者にわいせつな行為をしたとして、不同意わいせつなどの罪に問われている医師・大堀重法被告(64)が、4月27日にさいたま地裁で開かれた初公判で、2人の女性患者に対する起訴内容を認めました。
NEWSポストセブンが報じた公判詳報によると、大堀被告は「波動療法」と称し、診察に訪れた女性患者に対して「服が波動のジャマになる」などと説明。患者を脱衣させたうえ、自らも全裸になり、性的な接触を伴う行為に及んだとされています。
患者にとって診察室は、医師を信じて身体を預ける場所です。
その場で「治療に必要」と言われたとき、すぐに拒めなかった女性の心理は、決して軽く扱えません。
今回の裁判で問われているのは、単なる“変わった療法”の是非ではありません。
医師という立場、診察室という密室、患者の不安や信頼につけ込んだとみられる行為そのものです。
「治療かもしれない」と思わされた女性
同誌によると、大堀被告は診療の中で「波動療法」を行うとして、女性患者に衣服を脱ぐよう求めました。
被害女性は当初、それが本当に治療の一部なのかもしれないと考え、すぐには拒めなかったとされています。
相手は医師。
場所は診察室。
自分は症状を相談しに来ている。
聞き慣れない治療名を出されれば、「自分が知らないだけかもしれない」と考えてしまう。
この心理は重要です。
患者は納得していたのではなく、違和感を抱きながらも、医師の説明を信じようとしていた可能性があります。
医療者と患者の間には、知識と立場の差があります。だからこそ、医師側には明確な説明と同意確認が求められます。
自身も全裸に、患者の手に陰茎を握らせたとされる行為
初公判で明らかになった手口は、通常の診療行為とは大きくかけ離れたものでした。
報道によると、大堀被告は「衣服が波動のジャマになる」などと説明し、女性患者を全裸にしたうえで、自身も全裸になったとされています。さらに、患者の手に自身の陰茎を握らせたほか、下腹部を押し付ける行為や、口を尖らせてキスを迫るような行為もあったと報じられています。
被害女性は、当初は治療の一環かもしれないと耐えていました。
しかし、被告がキスを迫るように近づいてきた場面で、治療ではないと確信したとされています。
同誌は、被害女性がその瞬間に「これはただの変態だ」と感じた趣旨を伝えています。
この言葉は、刺激的な表現として消費されるべきものではありません。
医師の説明を信じようとしていた患者が、「これは医療ではない」と気づいた瞬間を示す重要な証言です。
2人の女性患者への行為を認める
大堀被告は初公判で、2人の女性患者に対する起訴内容を認めました。
一人の女性患者には、全裸にさせたうえで自身も全裸となり、陰部を触らせるなどしたとされています。
別の女性患者にも、上半身裸や下着姿になるよう求めたとされています。
逮捕時や捜査段階では、「検査としてやった」と説明していた時期もあるとされています。
しかし、公判では起訴内容を認めており、今後は、被告がどのような説明で患者に脱衣を求めたのか、患者が拒みにくい状況がどのように作られたのか、同様の被害がほかにもあったのかが焦点になります。
「趣味はハンドパワー」過去の発信にも注目
大堀被告をめぐっては、過去の求人サイトに「趣味はハンドパワー」といった記載があったことも報じられています。
一見すると、突飛な言葉に見えます。
しかし、今回の事件で問題なのは、奇抜な表現そのものではありません。
「波動」
「ハンドパワー」
「治療に必要」
こうした言葉が診察室で使われたとき、患者が判断を迷わされる点です。
とくに、聞き慣れない治療名や専門的に見える説明を受けると、患者側は「そういう治療なのかもしれない」と考えてしまいます。
同誌によると、波動療法に詳しい関係者からは、患者が服を脱ぐ必要はないという趣旨の証言も出ています。
つまり、今回問題になっている行為は、「特殊な治療だから仕方ない」と片づけられるものではありません。
医師の言葉は、患者を黙らせることがある
医師の言葉は重いものです。
患者は診察室で、弱い立場に置かれやすくなります。
治してほしい。
悪くなりたくない。
医師に嫌な顔をされたくない。
自分が大げさに受け止めているだけかもしれない。
女性患者が診察中に脱衣や身体接触を求められた場合でも、その場で強く拒むことは簡単ではありません。
今回の事件で問われているのは、まさにその弱さにつけ込んだのではないかという点です。
診療で患者に衣服を脱がせる必要があるなら、理由、範囲、手順、同席者の有無、拒否できることを明確に説明しなければなりません。
まして、医師自身が全裸になる行為や、患者に医師の陰部を触らせる行為が、通常の診療行為として説明される余地は極めて乏しいといえます。
「治療」の名を借りた性加害をどう防ぐか
この事件は、一人の医師の逸脱として終わらせてはいけません。
患者が診察室で違和感を覚えたとき、誰に相談できるのか。
医師の説明に疑問を持ったとき、診察を中断できるのか。
同性スタッフの同席を求められるのか。
医療機関側に、患者を守る運用があったのか。
こうした点が、改めて問われています。
医療は、患者の信頼によって成り立ちます。
その信頼が、患者を黙らせる道具になったとすれば、被害は身体だけでなく、医療そのものへの不信にもつながります。
大堀被告の裁判では今後、被害の実態、説明の内容、同意の有無、余罪の可能性が審理される見通しです。
女性患者が「治療かもしれない」と思い、我慢してしまった時間。
その迷いを生んだのは、患者の弱さではありません。
医師という肩書きと、診察室という密室が持つ力です。
今回の裁判は、その力がどのように使われたのかを問う場になります。
▼ 新座市64歳医師の「波動療法」不同意わいせつ裁判
Q. 新座市64歳医師の「波動療法」不同意わいせつ事件とは何ですか?
埼玉県新座市内のクリニックで院長を務めていた医師・大堀重法被告(64)が、「波動療法」と称して女性患者に脱衣を求め、不同意わいせつなどの罪に問われている事件です。4月27日にさいたま地裁で開かれた初公判で、大堀被告は2人の女性患者に対する起訴内容を認めたと報じられています。
Q. 大堀重法被告は患者に何をしたとされていますか?
報道によると、大堀被告は「服が波動のジャマになる」などと説明し、女性患者を脱衣させたうえで、自らも全裸になったとされています。さらに、患者の手に自身の陰部を触れさせた行為、下腹部を押し付けた行為、口を尖らせてキスを迫った行為などが、初公判で示されたと報じられています。
Q. この事件で最も問題視されている点は何ですか?
最も問題視されているのは、医師という立場と診察室という密室性を使い、患者が拒みにくい状況を作ったとみられる点です。「治療」「波動療法」と説明されることで、患者が違和感を抱いても、その場で強く拒めなかった可能性があります。裁判では今後、説明内容、同意の有無、同様被害の有無などが焦点になるとみられます。
イラスト:編集部作成(一部報道写真を参考に作成)
参考:NEWSポストセブンの公判詳報、埼玉新聞の逮捕報道ほか

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