岐阜県美濃加茂市立東中学校で、教員がプール設備のバルブを誤操作し、約2週間にわたって水道水が流れ続けた問題で、市教育委員会が週刊TAKAPIの取材に応じた。
教育委員会によると、6月分の学校全体の上下水道使用料は約112万円。前年同月は約62万円だったため、差額は約50万円となる。教育委員会はこの増加分について、誰がどのように負担するかは「まだ検討中」と説明した。
また、問題のバルブは「中和槽給水バルブ」で、教員がプール全体の水を循環させる設備につながるバルブだと誤認していたことも新たに分かった。教育委員会は、教員への処分についても「検討中」としている。
既報では、6月16日に誤操作があり、7月1日の検針で異常な使用量が判明したことまで確認されていた。今回の独自取材で、前年同月の料金、誤認識の具体的内容、増加分の負担方針、教員処分の検討状況、再発防止策の詳細が明らかになった。現行記事では6月分の上下水道使用料約112万円、前年同期比約50万円増と報じている。
前年6月は約62万円 今回は約112万円
教育委員会によると、前年の同じ6月使用分は、水道使用量が1357立方メートルで、上下水道料金は約62万円だった。
今回の6月分は約112万円となったため、前年同期との差額は約50万円となる。
ただし、約112万円は東中学校全体の6月分の上下水道使用料であり、すべてが今回の誤操作による損失額ではない。この点は既報でも整理している。
教育委員会は、今回の流出による増加分について「まだ検討中」と回答した。
週刊TAKAPIが「税金で負担するのか、それ以外の扱いになるのか」と確認したところ、教育委員会は現段階で決まっていないとの認識を示した。
「ろ過設備」ではなく中和槽への給水バルブだった
今回、約2週間にわたって異常に気づかなかった理由について、教育委員会は「バルブ自体の機能、役割の誤認識」と説明した。
問題となったのは、中和槽給水バルブ。
プールでは、消毒に使った水をそのまま排水すると周辺環境や生物に影響を与える可能性があるため、排水前に中和処理を行う設備が設けられている。
教育委員会によると、今回開けたままになっていたのは、その中和槽へ水を入れるためのバルブだった。
しかし担当した教員は、このバルブをプール全体の水を循環させる設備に関係するものと誤って認識していた。
プールは運用中に水を循環させるため、教員は「開けた状態が通常」と受け止め、そのままにしていたという。
毎日メーターを記録していたが異常と認識せず
東中学校では、水道メーターそのものは毎日記録していた。
それでも流出を約2週間把握できなかった理由について、教育委員会は、担当者がバルブの役割を誤認していたため、プール使用期間中にメーターが大きく動くこと自体も通常の動きだと受け止めていたと説明した。
異常が判明したのは7月1日の水道メーター検針だった。
検針結果から通常より大幅に水道使用量が増えていることが分かり、学校への確認を経て誤開栓が判明した。
つまり、記録そのものがなかったのではなく、記録された数字を異常として判断できなかったことが、発見の遅れにつながった形だ。
バルブの表示・配置も誤認しやすかった可能性
週刊TAKAPIは教育委員会に、問題のバルブが間違えやすい表示や配置になっていた可能性についても確認した。
教育委員会は、プール設備と別の設備との中間付近にバルブが設置されていたことなどから、プールにつながる設備だと誤って認識する可能性は「あったかもしれない」と説明した。
一方で、設備配置そのものに瑕疵があったと正式に認定したわけではない。
東中学校側も週刊TAKAPIの取材に対し、バルブ操作について整理されたマニュアルがなかったことを、学校として問題の一因と認識していると説明した。
学校側は、今回の件に関する詳細な回答については教育委員会に一元化しているとして、それ以上の説明は控えた。
再発防止は「マニュアル・記録確認・注意表示」
教育委員会は、東中学校に対して具体的な再発防止策を指導したと説明した。
主な内容は、プール管理マニュアルを新たに整備すること、水道メーターの記録を単に残すだけでなく内容を確認する体制を設けること、バルブ部分に注意表示を付けて用途を分かりやすくすること。
さらに、東中学校だけの問題として終わらせず、校長会を通じて市内の学校に今回の経緯と再発防止策を共有し、設備表示や点検方法について注意を徹底する方針を示した。
既報段階では「マニュアルに沿った操作を徹底する」とされていたが、今回の取材で、新たなマニュアル整備、メーター確認体制、バルブへの注意表示まで具体化していることが分かった。
教員への処分も「検討中」
今回バルブを誤操作した教員への処分や指導について、教育委員会は「処分についてはまだ検討中」と回答した。
現時点で懲戒処分などが決定した事実はない。
また、約50万円とみられる前年同期からの料金増加分についても、教員本人が負担するのか、市費として処理するのか、それ以外の対応になるのかは決まっていない。
このため、今後の焦点は、増加分の最終的な負担方法と、教員への処分判断となる。
編集部まとめ
今回の独自取材で見えてきたのは、「バルブを閉め忘れた」という単純な操作ミスだけではない。
実際には、担当教員が設備の役割を誤認し、毎日水道メーターを記録していたにもかかわらず、その数字を異常と認識できない状態が約2週間続いていた。
教育委員会は、マニュアル整備、数値確認、注意表示を再発防止策として進める一方、約50万円の増加分を誰が負担するのか、教員を処分するのかについては結論を出していない。
「誰が負担するのか」「誰が責任を取るのか」まで決まった段階で、この問題の行政上の処理が初めて完結する。
週刊TAKAPI 編集部/一条
特記事項
本記事は、2026年8月28日に週刊TAKAPIが美濃加茂市教育委員会および東中学校へ行った独自取材を基に、8月22日公開の既報を更新・再構成したものです。既報では、6月16日の誤操作、7月1日の発覚、6月分の上下水道使用料約112万円、前年同期比約50万円増までを報じていました。
今回の取材で教育委員会は、前年6月の上下水道料金を約62万円と説明しました。
約50万円という数字は前年同期との料金差であり、今回流出した水だけに対応する損害額として確定したものではありません。
また、増加分の負担方法、担当教員への処分はいずれも8月28日時点で「検討中」です。
学校側は、プール設備のバルブ操作について整理されたマニュアルがなかったことを問題の一因と認識していますが、取材対応の詳細は教育委員会に一元化していると説明しています。
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