【静岡•浜松】アクトタワーを地元5社出資ファンドが完全取得 171.5億円で地元資本へ、低層商業ゾーン活性化が焦点

浜松駅前のランドマーク「浜松アクトタワー」が、地元企業など5社が出資するファンドによる運営へ移行する。

信託受益権は、2026年3月27日に40%、9月1日に残る60%を取得する2段階で譲渡される予定。取得価格は合計171億5000万円で、地元資本を主体とした新たな運営体制が整う。

出資者は、セキスイハイム東海、静岡銀行、呉竹荘、須山建設、SFG不動産投資顧問の5社。アセットマネジメント業務はSFG不動産投資顧問が担う。

今後の焦点は、飲食店や店舗が入る低層部の商業ゾーン「アクトプラザ」の活性化だ。浜松駅前の象徴を地域企業がどう再生し、中心市街地に新たな人の流れを生み出すのかが注目される。


浜松アクトタワー、地元5社出資ファンドによる取得へ

浜松アクトタワーは、JR浜松駅に隣接するアクトシティ浜松の中心施設だ。

1994年に整備され、地上45階、高さ212.77メートル。低層部にはガレリアモールやショッピング街・レストラン街からなる「アクトプラザ」、中層部にはオフィス、高層部にはオークラアクトシティホテル浜松が入る。

今回、信託受益権を取得するファンドには、次の5社が出資する。

・セキスイハイム東海
・静岡銀行
・呉竹荘
・須山建設
・SFG不動産投資顧問

単なる不動産売買ではなく、浜松を代表する大型施設を地域企業と金融機関が連携して維持・活用する取り組みといえる。


取得価格は171.5億円 3月と9月の2段階で譲渡

オリックス不動産投資法人の資料によると、譲渡価格は合計171億5000万円。

2026年3月27日に40%、9月1日に残る60%を取得するスケジュールで、売却時の鑑定評価額は147億円とされている。

9月の取得が完了すれば、アクトタワーは地元資本を主体とする運営体制へ移行することになる。


地元企業が取得する意味

須山建設は、地域の象徴的な資産を持続的に維持・活用する取り組みとしてファンドへの参画を説明している。

背景には、人口減少や都市機能の分散、建物の老朽化といった地方都市共通の課題がある。1994年の開業から30年以上が経過したアクトタワーも、既存施設の価値をどう維持し、地域の資産として再生するかが問われている。

JR浜松駅前という立地や、オフィス、ホテル、商業施設を備える機能を生かしながら、中心市街地全体への波及効果を高めることが今回の取得の狙いといえる。


低層部の商業ゾーンが再生の鍵に

今後、特に注目されるのが低層部の「アクトプラザ」だ。

オフィスの稼働率が高くても、休日の来訪者が少なければ、施設全体のにぎわいにはつながりにくい。セキスイハイム東海の小林昭次社長も、テナントの入れ替えを含め、地域活性化につながる施設を目指す考えを示している。


今後は、働く場所としてだけでなく、休日にも訪れたくなる商業施設へ変えられるかが課題となる。

飲食店・物販・サービス業のテナント構成は変わるのか

低層部の活性化では、テナント構成が大きなポイントになる。

地元飲食店や浜松発の企業、観光客向け店舗、体験型施設など、アクトタワーならではの店舗を誘致できるかが問われる。遠鉄百貨店や駅ビルなど周辺施設との差別化を図り、独自の商業ゾーンをつくることが重要だ。


「アクトシティ全体」で人の流れを生かす

アクトタワーは単独の超高層ビルではなく、アクトシティ浜松の一部でもある。

アクトシティには、大・中ホール、コングレスセンター、展示イベントホール、浜松市楽器博物館などが集積している。コンサートや展示会の来場者、ホテル宿泊者、観光客を商業ゾーンへ誘導できれば、低層部の活性化につながる可能性がある。

アクトタワー単体ではなく、アクトシティ全体の人流を飲食店や店舗へつなげることが重要だ。


浜松駅周辺の再開発も追い風になるか

浜松中心市街地では、常葉大学の新キャンパスなど投資案件が動き始めている。

浜松市の中野祐介市長は、中心部が「大きく動き出すタイミング」に差しかかっているとの認識を示している。市も賃貸オフィスビル整備や企業移転を後押しし、民間投資を促す方針だ。

地元資本によるアクトタワーの取得も、こうした中心市街地の動きの一つとして位置付けられる。


編集部考察|取得後の施設づくりが重要

今回の取引で注目されるのは、171.5億円という取得価格だけではない。

重要なのは、地元企業が取得後にアクトタワーをどう変えるかだ。

特に低層商業ゾーンは、市民が変化を実感しやすい部分となる。飲食、物販、イベント、観光、文化を組み合わせ、目的がなくても立ち寄りたくなる空間をつくれるかが問われる。

地元資本の強みを生かすなら、全国どこにでもある商業施設ではなく、浜松らしさを前面に出した施設づくりが期待される。


浜松アクトタワーは今後どう変わる?気になるポイント

アクトタワーは建て替えられる?

現時点で、アクトタワーの建て替え計画は公表されていない。

当面は既存施設を生かし、テナント構成や施設運営を改善する取り組みが中心になるとみられる。

アクトプラザに新しい店は入る?

具体的な店舗名や大規模なテナント入れ替えの全容は明らかになっていない。

今後、どのような業種や店舗を誘致するのかが注目される。

なぜ浜松の企業が取得する意味がある?

地元企業が所有・運営に関与することで、不動産収益だけでなく、中心市街地全体の価値向上を視野に入れた投資が期待できる。

アクトタワーの集客力が高まれば、周辺の飲食店や商業施設への回遊にもつながる可能性がある。


浜松のランドマーク「次の30年」へ

1994年に誕生した浜松アクトタワーは、地元5社が出資するファンドによる新たな運営段階を迎える。

取得価格は171億5000万円。今後の評価を左右するのは、低層商業ゾーンのテナント戦略や休日の来館者増加、アクトシティ全体との回遊づくりだ。

浜松の象徴を、浜松の企業がどう育て直すのか。地元資本主体となったアクトタワーの次の一手に注目したい。


※本記事は公開されている企業情報、報道内容、地域特性、市場動向などをもとに編集部が独自に考察した内容です。企業や関係者が公表している出店理由・経営方針を断定するものではなく、一部に編集部の見解や推測が含まれます。最新かつ正確な情報は、各企業・自治体の公式発表をご確認ください。

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週刊TAKAPI編集部:黒木

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