【続報・独自取材】豊川市職員22人分の個人情報漏えい疑い 管理職の私用メール送信は「本人判断」 過去の使用歴、市は聞き取りせず

愛知県豊川市の職員22人分の個人情報漏えい疑いについて、私用メールへの送信が管理職本人の判断だったことと、過去の利用歴を市が確認していなかったことを伝える報道画像

愛知県豊川市の50代男性管理職が、職員22人分の評価情報などを私用メールへ送信し、個人情報の漏えいが疑われている問題で、自宅で作業するための送信は業務上の指示ではなく、管理職本人の判断だったことが週刊TAKAPIの取材で分かった。

また、市は男性管理職が過去にも私用メールや私用パソコンを業務に使用していたか確認しておらず、本人への聞き取りも行っていなかった。

取材では、過去にも同様の行為があった可能性や、今回の誤送信がなければ情報の持ち出しが発覚せず、その後も繰り返されていた可能性を指摘。過去の使用状況を調査するよう促したところ、市の担当者はその必要性に理解を示し、「そうですね」「わかりました」と応じた。

市は今回の事案を受け、メール送受信システムのセキュリティ対策を強化する方針を明らかにしている。

持ち出し禁止を認識しながら送信 市は「本人の判断です」

豊川市が10月13日に発表した資料によると、市民部に所属する50代の男性管理職は、8日午後6時40分ごろ、自宅の私用パソコンで作業するため、所管する職員22人分の評価情報などを含むデータを職場の公用パソコンからメールに添付し、自身の私用メールアドレスへ送信した。

データには職員番号、氏名、性別、年齢、在課年数などが含まれ、パスワードは設定されていなかった。

男性管理職は庁外への持ち出しが原則禁止されている情報だと認識していた。それでも送信しようとした経緯について、週刊TAKAPIが業務上の指示だったのか、本人の判断だったのかを確認したところ、市の担当者は「本人の判断です」と明言した。

送信後、自身の私用メールに届いていないことから宛先の誤入力が判明。メールは、第三者が不正目的で設定した類似ドメインに到達した可能性があるとして、市は情報漏えいの疑いを公表した。

市は今回の行為について、個人情報の取扱いに関する管理規程と情報セキュリティポリシーに反する不適切な行為と位置付けている。

豊川市

過去の私用メール使用歴は未確認 市「そこまでは聞いてない」

今回の取材で新たに判明したのは、男性管理職の過去の情報持ち出しについて、市が使用実態を把握していなかったことだ。

週刊TAKAPIが、過去にも私用メールや私用パソコンを使って業務を行っていた事実は確認されているかと質問したところ、担当者は「事実は確認しておりません」と回答した。

さらに、本人に過去の利用状況を聞いているか確認すると、「そこまでは聞いてないですね」と説明した。

これに対し、過去にも同様の行為があった可能性を指摘。今回の送信先の入力間違いがなければ、情報の持ち出しそのものが発覚せず、同様の行為が続いていた可能性もあるのではないかと問題を提起した。

そのうえで、今回が初めてだったと判断する前に、過去の私用メールや私用パソコンの使用状況を調査したほうがよいと重ねて伝えた。他の職員にも同様の事例がないかを確認する必要性についても言及した。

担当者は、過去の使用実態を確認する必要性に理解を示し、「そうですね」と応答。改めて調査を勧めると「わかりました」と答え、取材での指摘に謝意も示した。

ただし、過去の規程違反が繰り返されていた事実は確認されていない。市が遡って調査を行うことを正式に決めたかどうかも、今回の回答では明らかになっていない。

市の規程にはメール記録の調査規定も 過去の使用状況の確認が課題

豊川市が公開している2023年4月改定版の情報セキュリティポリシーでは、私用パソコンなどの業務利用を原則禁止し、例外的に利用する場合も情報セキュリティ管理者の許可を必要としている。庁外での情報処理作業についても、管理者の許可を求める規定がある。

さらに、同ポリシーには、電子メールによる情報資産の無断持ち出しを防ぐため、添付ファイルの監視などシステム上の措置を講じる規定がある。

職員の電子メール送受信記録などについても、不正アクセスなどの調査のために利用状況を確認できる規定が設けられている。

ただし、2023年版の各規定が今回の事案発生時にどのような形で適用されていたかや、当該管理職の過去の送受信記録がどの程度保存されているかは確認できていない。

豊川市、メールのセキュリティ強化を明言 取材でも技術的対策を指摘

豊川市は10月13日の報道発表で、全職員に個人情報保護と情報セキュリティポリシーの遵守を改めて徹底するとともに、メール送受信システムのセキュリティ対策を強化する方針を明らかにした。

今回の取材でも、職員研修だけに頼らず、宛先を誤入力した場合に第三者へ情報が送られないようにするなど、システム上の技術的な防止策が必要だと指摘した。担当者は「はい」と応じた。

取材では、メールアドレスのわずかな入力間違いによって別のドメインへ情報が送信される仕組みについて、担当者が今回初めて知ったと話す場面もあった。

今回の事案には、送信先を間違えたことと、持ち出しが禁止されている個人情報を私用メールへ送信したことの二つの問題がある。

市はメール送受信システムの対策強化を既に表明しており、再発防止に向けて技術的な対応を進める方針だ。

上司が男性管理職を厳しく叱責 正式な処分は今後判断

男性管理職に対する対応について、市の担当者は、上司の立場から本人を厳しく叱責したことを明らかにした。

担当者は、管理職でありながら持ち出しが禁止されている個人情報を自宅で扱おうとしたことや、送信データにパスワードすら設定していなかったことについて、厳しい認識を示した。

一方、男性管理職に対する正式な処分について、市は事案の詳細を確認したうえで適切に対応するとしている。

今回漏えいが疑われている情報は職員22人分で、市民の個人情報は含まれていない。市は、第三者が職員の情報を悪用した場合、職員になりすました詐欺などにつながるおそれがあるとしている。

編集部まとめ

豊川市の男性管理職による職員22人分の個人情報の私用メール送信は、業務上の指示ではなく本人の判断だった。

市は、過去に同様の行為がなかったかについて本人への聞き取りを行っておらず、独自取材では、誤送信がなければ発覚せず、同様の行為が続いていた可能性も含めて調査する必要性を指摘した。市の担当者は理解を示したものの、追加調査の実施については明確な回答をしていない。

市はメール送受信システムのセキュリティ対策を強化する方針を明らかにしている。週刊TAKAPIは今後も、過去の情報持ち出しの有無や再発防止策の実施状況について取材・検証を続ける。

週刊TAKAPI 編集部/成田

特記事項

本記事は、豊川市が2026年10月13日に公表した報道発表資料、同市が公開する情報セキュリティポリシー、週刊TAKAPIによる市民部への独自取材に基づく。

独自取材では、管理職本人による送信の判断、過去の私用メール・私用パソコン利用についての市の確認状況、過去の使用実態を調査する必要性に対する市側の応答、技術的な再発防止策、上司による叱責について確認した。

過去にも同様の行為が繰り返されていた可能性や、今回の誤送信がなければ今後も続いていた可能性については、取材時に指摘したものであり、その事実が確認されたものではない。

Q豊川市の個人情報漏えい疑いは何人分ですか?
A市民部に所属する管理職が所管する職員22人分です。職員の評価情報、職員番号、氏名、性別、年齢、在課年数などが含まれています。
Q私用メールへの送信は市の指示だったのですか?
Aいいえ。市の担当者は週刊TAKAPIの取材に対し、男性管理職本人の判断だったと回答しました。
Q過去にも私用メールや私用パソコンを使っていたのですか?
A確認されていません。市は過去の利用実態について本人に聞き取りを行っていませんでした。週刊TAKAPIは同様の行為が過去にもなかったか調査する必要性を指摘しました。
Q豊川市はシステム上の再発防止策を強化するのですか?
Aはい。市は10月13日の発表で、メール送受信システムのセキュリティ対策を強化する方針を明言しています。独自取材でも、職員研修だけでなく技術的な対策の必要性を指摘しました。
Q男性管理職への処分はどうなっていますか?
A取材では、上司が厳しく叱責したことが判明しました。正式な処分は、市が事案の詳細を確認したうえで判断する方針です。

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