札幌市教育委員会は5月18日、いじめ防止対策推進法に基づく「重大事態」に該当する疑いがある事案が、新たに3件確認されたと発表した。
3件は2020年から2022年に市立学校で起きた事案で、小学校2件、中学校1件。いずれも児童や生徒が不登校、または転校に至っていたが、当時は「いじめが主な原因ではない」と判断され、重大事態としての調査対象にはなっていなかった。
市教委は、過去に重大事態として扱われていなかった事案について再点検を実施していた。2013年度以降の事案を確認した結果、精査が必要とされた20件のうち、今回3件を重大事態の疑いがある事案として公表した。
重大事態とは、いじめにより児童生徒の生命、心身、財産に重大な被害が生じた疑いがある場合や、相当期間にわたり学校を欠席せざるを得ない疑いがある場合を指す。いじめ防止対策推進法では、学校や教育委員会に報告・調査が求められる。
札幌市では、2018年に市立高校で起きた性被害事案をめぐり、市教委が後に重大事態と認定した経緯がある。今回の再点検は、その後の対応確認の一環として進められていた。
市教委は5月18日から、市独自のガイドラインの運用を始めた。今後は、保護者からの申し立ての有無にかかわらず、重大事態として調査すべきかを早い段階で判断し、調査の遅れや見落としを防ぐとしている。
子どもが不登校や転校に至っていたにもかかわらず、当時の学校や市教委が重大事態として扱わなかった点は重い。問題は、いじめの有無だけではない。子どもが学校に通えなくなった時点で、学校側がどこまで記録し、誰が判断し、教育委員会へどう報告したのかが問われている。
編集部まとめ
札幌市教委が新たに公表した3件は、いずれも児童生徒が不登校や転校に至っていた事案です。にもかかわらず、当時は重大事態として調査されていませんでした。
教育現場で必要なのは、「いじめが主な原因かどうか」を学校側だけで早く決めることではありません。子どもが通えなくなった事実を出発点に、記録、報告、調査を止めないことです。
今回の公表は、過去の判断を検証する出発点です。市教委には、3件それぞれで当時どの情報が共有され、誰が重大事態に当たらないと判断したのかを明らかにする責任があります。

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